弁護士に債権回収を依頼するメリット

1 交渉の煩わしさ、負担からの解放

未払いの債権回収をご本人で行う場合、時間や労力、精神面での負担が大きくなることが予想されます。

また、債務者との人間関係を懸念し、請求自体を躊躇うケースもあります。

第三者である弁護士に債権回収を依頼することで、債権回収の交渉等を行う時間的負担、精神的負担、労力から解放されることが一番のメリットといえます。

 

2 迅速な解決が可能

弁護士名義で、内容証明を送ったり、場合によっては訴訟提起をした場合に、相手方に債権を回収する旨の本気度が伝わり、早期に回収が得られるケースがあります。

ご本人で何度請求しても、「梨の礫」であったものが、弁護士名で請求書を送ったことですぐに支払いが得られたというケースがしばしば見られます。

また、速やかに消滅時効の完成猶予の措置(民法147条)をとることによって、消滅時効完成という法的リスクを回避することも可能です。

(cf)消滅時効の完成猶予の措置について

 消滅時効の場合の完成猶予とは、一定の事由が終了するまでの間、時効が完成しないことを意味します(時効期間がリセットされる時効の「更新」と異なります。)。

 例えば、5年の消滅時効にかかる請負代金債権を請求する場合に、権利行使できることを知った時から、4年10ヵ月後の段階で、訴訟を提起すれば訴訟が行われている間、時効の完成が猶予されます。

 消滅時効は、①裁判上の請求等、②強制執行等、③仮差押え等、④権利についての協議を行う旨の合意が書面でされることのいずれかによって、その完成が猶予されます。

 なお、裁判外での請求については、支払の催告を行うだけでは足りず(請求書を送付するだけでは足りず)、催告後、6ヵ月以内に、訴訟提起、支払督促の申立て、調停の申立て、仮差押え、仮処分等の完成猶予措置をしなければ、完成猶予の効力が生じない点に注意が必要です(民法152条)。

 

3 行政書士及び司法書士との違い

(1)債権回収を依頼する上で、弁護士と行政書士、司法書士との違いは、弁護士は、請求金額の制限がなく、債権回収の裁判外交渉や訴訟手続の代理人となれる点にあります。

司法書士は請求金額140万円までという制限があり(簡易裁判所事案)、行政書士は、訴訟や交渉の代理人となることはできない旨の制限があります。

(cf)平成28年6月27日最高裁判決について

平成28年6月27日、過払金の対応等の債務整理で、借金の金額が140万円を超える場合、司法書士は代理できない旨の最高裁判所の判決が下されました。

司法書士法は、債権回収において、司法書士が訴訟代理人を受任したり、交渉を行うのは、請求金額が140万円以下の場合に限る旨規定していますが(司法書士法3条1項6号イ、同法3条1項7号裁判所法33条1項1号)、これまで、例えば、200万円の支払いを請求し、和解金額が140万円となる場合等、依頼者が受ける利益が140万円以下となる場合には、司法書士も受任できる旨の解釈のもと、実務の運用がなされてきました。

しかし、同最高裁判決によって、請求金額や債務金額という画一的な基準によって定めるものとされ、受任できる範囲が明確となり、請求金額自体、債務金額自体が140万円を超える場合は、弁護士でないと受任ができなくなりました。

交渉や裁判の結果によって、初めて分かる依頼者が受けた利益を基準とする解釈は避けるべきことが同判断の理由となっています。

(2)また、弁護士は、訴訟手続、仮差押手続、執行手続に精通しているため、万が一、法的手続をとることになった場合にも安心して、債権回収を任せることができます。

 

4 短期の損金処理

弁護士に依頼しても債権回収が得られなかった場合、早期に損金処理することが可能となるケースがあります。

 

お問い合わせ

ページの上部へ戻る