家賃(賃料)の消滅時効について
1 家賃(賃料)の消滅時効
家賃(賃料)の滞納については、早期に対応することが必要です。
家賃(賃料)の請求権の消滅時効は、基本的には5年間です。
※債権は、債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間行使しないときは、時効によって消滅します(民法166条1項1号)。
賃借人との関係から、内容証明や法的対応による請求をためらうケースもあると思われますが、対応が遅れることにより消滅時効にかかってしまう点には注意が必要です。
2 消滅時効の完成猶予
消滅時効は、
①裁判上の請求
②差押え、仮差押え、仮処分
③権利についての協議を行う旨の合意が書面でされること
によって、完成が猶予されます。
※完成猶予とは、その間は時効が完成しないことです(後述の更新と異なり、時効期間がリセットされるわけではありません。)。
内容証明の送付のみでは、消滅時効の完成は猶予されませんが、内容証明の送付後、6ヶ月以内に、裁判上の請求、支払督促の申立て、和解の申立て、調停の申立て等を行った場合は、時効の完成が猶予されます(民法150条1項、147条1項各号)。
すなわち、消滅時効の完成が迫っている場合に、消滅時効の完成を6ヶ月間延長させる場合に、内容証明の送付が有益となります。
3 消滅時効の更新
また消滅時効はその完成前に債務の承認があったときは、時効期間がリセットされ、一から新たな進行を始めることになります(民法152条1項)。
これを時効の更新といいます。
4 弁護士への相談のメリット
消滅時効の完成が迫っている場合でも諦めずに弁護士に相談されることをおすすめします。
内容証明の送付により、消滅時効の完成を延ばすことができますし、相手方の債務承認により、消滅時効の完成を回避できることもあり得るからです。