借家人が行方不明でお困りの方へ
借家人と連絡がとれず、行方不明となっている場合の対応として考えられるものは、以下の通りです。
1 借家人の連帯保証人や家族との連絡を試みる
借家人の連帯保証人や家族の連絡先が分かれば、早期にコンタクトをとり、借家人の連絡先、居住先を確認します。
新たな借家人の住所や連絡先が分かれば、滞納家賃の請求や契約の解除の通知を行う等します。
2 訴訟と公示送達
家族を通しても、借家人の居場所が分からない場合には、賃貸借契約を解除し、建物の明渡しを求めようとしても、内容証明を受領させることすらできません。
このような場合には、賃貸借の解除と明渡しを求める旨の訴訟提起を行い、公示送達という方法によって、訴状の送達があったとみなされる方法をとります。
公示送達の結果、訴訟が有効に係属します。
そして、明渡し請求を認める旨の判決が下され、同判決が確定すれば強制執行が可能となります。
また、明渡し請求とあわせて、未払家賃の支払請求も行い、これについても認容判決を得ておくと良いでしょう。
3 強制執行と残置物の処分
滞納家賃についての支払請求についても確定判決を得ておけば、明渡しの強制執行の際に、建物内部に残された動産類を競売により処分し、競売代金の中から滞納家賃の回収を図ることが可能です。
また、未払家賃については、明渡しが完了した際、敷金から充当することになります。
4 自力救済の禁止
借家人が賃料を滞納し、行方不明であったとしても、建物内部の動産を勝手に処分することは許されませんので注意が必要です。
このような自力救済に対しては、裁判所は厳しい立場をとっており、後で賠償責任等の問題が生じるリスクがあります。