賃貸借と改正民法② 敷金の定義と原状回復義務の範囲

2017-11-22

賃貸経営と改正民法の関係において、重要な2つ目の点としては、敷金の定義がなされ原則として敷金の返還義務が定められたこと、かつ、通常損耗及び経年劣化は賃借人の原状回復義務の範囲外(すなわち賃貸人負担)と定められたことが挙げられます。

まず、改正民法においては、敷金を以下のように定義しました。
「いかなる名目によるかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭をいう。」(改正民法622条の2第1項)
そして、賃貸借終了時においては、敷金から、賃貸借に基づき発生した賃借人の賃貸人に対する債務(未払賃料等)を控除した残額の返還をしなければならないと規定されています。
更には、通常損耗や経年劣化によって生じた損傷は、賃借人の原状回復義務の範囲に含めないことも規定されています(改正民法621条)。

これまでの裁判例やガイドラインが法律として明文化されたものであり、頻繁に生じる原状回復義務、敷金を巡るトラブル防止の一助になることが期待されます。
不動産オーナー、不動産業者にとっては、当該改正点も認識しておくと良いでしょう。