サービス残業の抑制と労働時間の管理

2017-03-31

今月、ヤマトHDが未払い残業代を支給する旨のニュースがありました。

労働基準法によると賃金の請求権の消滅時効は2年間とされています(同法115条)。すなわち、現時点より遡って2年間の間に、残業代の未払いがあれば、会社には支払義務が生じます。

一斉に対象社員全員の未払残業代の清算をすることになれば、会社の業務、経営状況に多大な影響を及ぼします。

労働時間の把握、管理は、使用者の責務とされています(平成13年4月6日基発339号「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準」)。

サービス残業を抑制し、労働時間を適切に把握するためには、①始業終業の確認はタイムカード、ICカード等の客観的な記録を利用することと、②労務管理を行う責任者を明確に決めておくこと等、労働時間の管理体制の強化が不可欠となります。

以下 平成29年3月4日付日本経済新聞より、引用。

ヤマトホールディングス(HD)がトラック運転手などのサービス残業の実態を調査し、給料の未払い分を支給する方針であることが分かった。インターネット通販で急増する荷物をこなそうとすることで、現場が混乱をきたし、労働時間を正確に把握する仕組みが機能していなかった。集配拠点の管理職を増やすなどして労働時間の管理体制を厳格化し、再発防止に取り組む。」

「子会社のヤマト運輸のトラック運転手などグループ全体の4割に当たる約7万6000人の従業員を対象に労働時間の聞き取り調査を始めた。3月末をめどに終え、未払い分を順次支給する。」「未払い残業代が100万円を超える従業員もいるとされ、ヤマトHDの支払総額は数百億円に上る可能性がある。」