債権回収④ 仮差押の有益性

2017-01-06

債権者が売掛金や貸付金等の金銭債権を強制的に回収するためには、勝訴判決等の債務名義を取得し、強制執行を行う必要があります。

しかし、これらの手続を待っていては、裁判の間に、債務者が保有財産(不動産や預貯金等)を隠匿・散逸してしまい、勝訴判決が得られても債権回収を実現できないというリスクが生じます。

そのために、債権者は、「強制執行をすることができなくなるおそれがあるとき、又は強制執行をするのに著しい困難を生ずるおそれがあるとき」には、裁判所に対し、仮差押命令の発令を求めることが可能です(民事保全法20条1項)。

裁判所により、仮差押命令が発令され、当該命令の正本に基づき仮差押が執行されると、債務者による対象財産の処分が禁止され、債権者は、債務者の財産を保全することができます。

仮差押の対象としては、①不動産、②債権、③動産等が考えられます。

また、仮差押の手続により、債務者が反応し、慌てて任意で金銭を支払ってくるというケースもありますので、仮差押は、債権回収を実現する上で、まず検討すべき手法といえるでしょう。