無期雇用契約への転換と事務派遣料の値上げ

2017-12-04

人材派遣大手企業が、一般事務派遣の料金の値上げを行うようです。
平成25年4月に改正労働契約法が施行されており、施行日以降、期間の定めのある雇用契約を締結した社員については、5年経過後、希望があれば、無期雇用契約に転換がなされることになります(労働契約法18条1項)。
平成30年4月以降、無期雇用契約への転換が生じることに伴い、人材派遣会社が社員に支払う賃金が増加します。
かかる増加コストを捻出するため、派遣料の増加に踏み切ることになりました。

(cf)労働契約法第18条1項
「同一の使用者との間で締結された二以上の有期労働契約(契約期間の始期の到来前のものを除く。以下この条において同じ。)の契約期間を通算した期間(次項において「通算契約期間」という。)が五年を超える労働者が、当該使用者に対し、現に締結している有期労働契約の契約期間が満了する日までの間に、当該満了する日の翌日から労務が提供される期間の定めのない労働契約の締結の申込みをしたときは、使用者は当該申込みを承諾したものとみなす。この場合において、当該申込みに係る期間の定めのない労働契約の内容である労働条件は、現に締結している有期労働契約の内容である労働条件(契約期間を除く。)と同一の労働条件(当該労働条件(契約期間を除く。)について別段の定めがある部分を除く。)とする。」

以下、平成29年12月1日付日本経済新聞より、引用。
「パーソルテンプスタッフなど人材派遣大手が相次ぎ一般事務派遣の料金の引き上げに乗り出す。2018年4月から勤続年数が5年超の有期雇用社員の希望者を無期雇用に転換する必要があり、コスト増加分を転嫁し、待遇改善などの原資に充てる。無期雇用に転換する社員について1~3割の値上げを目指す。人手不足の中、一般事務職にまで待遇改善の動きが広がってきた。」
「改正労働契約法に基づき、18年4月から勤続年数が5年を超える有期雇用の希望者は無期雇用への転換を申し入れできるようになる。現在の一般事務派遣はほとんどが有期雇用で、契約が終わり新たな派遣先が見つかるまでの待機期間中は派遣会社から給与は支払われない。だが、無期雇用では待機期間中も給与が支払われる。派遣社員にとっては待機期間中でも常に一定の収入が保証され、生活の安定につながる。マンパワーやアデコは無期転換した派遣社員に交通費も支給する。」