残業時間の上限規制 繁忙期は100時間未満

2017-04-06

残業時間の上限規制の導入について、これまで労使及び政府で議論がなされてきましたが、労使協定を結べば年間720時間、月平均60時間までが認められることになりました。

繁忙期については、例外として認める残業を100時間未満とすることが固まりました。

年内にも、労働基準法改正案等が国会に提出され、2019年度の運用開始を目指すことになるようです。

これまで、36協定を結べば、1カ月45時間の上限で残業が認められていましたが、更に、「特別条項付きの36協定」を結べば、限度時間を超える時間を延長時間とすることができ、当該い特別条項を設けることで、日常的に限度時間を超える時間外労働を行わせている会社が多くありました。

今回、残業時間の上限規制が導入されることになったのは、意義深いものと思います。

ただし、当該基準時間の妥当性については、賛否が分かれており、過労死の危険性との関係から、当該規制導入後も引き続き、当該基準の妥当性についての検討が必要と考えられます。

 

以下、平成29年3月14日付日本経済新聞より、引用。

政府が進める働き方改革の柱である残業時間の上限規制を巡り、繁忙月に例外として認める残業を「100時間未満」とすることが固まった。安倍晋三首相が13日、首相官邸で経団連の榊原定征会長、連合の神津里季生会長と会談して要請。労使ともに受け入れる方針で、政府は月内に非正規の待遇改善策なども盛り込んだ実行計画を策定する。

両会長は13日、首相との会談に先立ち、残業時間の上限規制に関する合意文書を作成。時間外労働の上限は労使協定を結べば年間720時間、月平均60時間まで認める。焦点の繁忙月の上限については「100時間を基準とする」との表現を盛り込んだ。

首相は両会長との会談で「ぜひ100時間未満とする方向で検討いただきたい」と要請。榊原会長は会議後、記者団に「首相の要請を重く受け止め、経済界として対応を決めたい」と表明し、神津会長も「労基法70年の歴史の中で非常に大きな改革だ」と語り、労使ともに受け入れる方針を事実上示した。

17日に開く働き方会議では政労使の合意として「100時間未満」が提示される見通しだ。年内に労働基準法改正案などを国会に提出し、2019年度の運用開始を目指す。

労使合意には終業から始業までに一定の休息を設ける「勤務間インターバル制度」導入を法律に盛り込むことも明記。残業規制導入から5年経過後、過労死の労災認定状況などを踏まえ、上限を見直す。現在は適用除外となっている建設や運輸などの業種は運用までの猶予を設けることで政府と経済界は調整する。