債権回収③ 取扱金額の範囲について(司法書士と弁護士)
2016-12-08
平成28年6月27日、過払金の対応等の債務整理で、借金の金額が140万円を超える場合、司法書士は代理できない旨の最高裁判所の判決が下されました。
司法書士法は、司法書士が訴訟代理人を受任できるのは、請求金額が140万円以下の簡易裁判所の訴訟に限る旨規定していますが、これまで、例えば、200万円の支払いを請求し、和解金額が140万円となる場合等、依頼者が受ける利益が140万円以下となる場合には、司法書士も受任できる旨の解釈のもと、実務の運用がなされてきました。
しかし、同最高裁判決によって、請求金額や債務金額という画一的な基準によって定めるものとされ、受任できる範囲が明確となり、請求金額自体、債務金額自体が140万円を超える場合は、弁護士でないと受任ができなくなりました。
交渉や裁判の結果によって、初めて分かる依頼者が受けた利益を基準とする解釈は避けるべきことが同判断の理由となっています。
(日本経済新聞・平成28年6月27日付)
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