賃貸借と改正民法① 設備故障と賃料減額

2017-11-20

平成29年5月に改正民法が成立し、2020年の施行が予定されています。
賃貸経営との関係においては、住宅設備が故障した際等、賃借物の一部の使用収益ができなくなった場合に家賃が当然減額になることが規定されました(改正民法611条1項)。

現行民法の規定では、賃借物の一部が賃借人の過失によらないで滅失したときは、賃借人は、滅失した部分の割合に応じて、賃料減額請求することが可能となっています(現行民法611条1項)。すなわち、賃借人からの減額請求があって初めて、減額がなされることになっています。

他方、改正民法は、賃借物の一部が滅失その他の事由により使用収益できなくなった場合において、賃借人の過失がない場合には、賃料は、使用収益できなくなった部分の割合に応じて減額される旨、規定しています(改正民法611条1項)。
すなわち、改正民法下においては、請求がなくても、当然に減額されることになります。
従って、不動産オーナーや管理会社は、賃借物の一部使用不能等の事実を把握した時点で、(減額の請求がなくても)能動的に賃料減額の対応をしなければならない点に注意が必要となります。