Archive for the ‘未分類’ Category

マンション管理組合 理事長解任の有効性

2017-12-11

平成29年11月30日、最高裁判所は、「マンション管理組合の理事会が理事長を解任できるか否か。」が争われた上告審において、当事者双方から、意見を聞く弁論を開きました。
控訴審(第二審)においては、理事会による解任は無効と判断されていますが、当該二審の判断が見直され、有効と判断される可能性があります。

国土交通省が作成する、「マンション標準管理規約」は、理事長の解任についての規約を明記していません。
今回、当事者となっている管理組合においても、理事長は理事の互選で選任するとの規約がある一方で、解任については、明文の規定がありませんでした。

判決は、平成29年12月18日を予定しています。
マンション管理組合理事長の解任に関する実務に大きな影響を及ぼすものであることから、同日の判断内容が注目です。

 

最高裁 NHKとの契約義務付けは合憲

2017-12-07

平成29年12月6日、最高裁判所は、テレビを置く人にNHKとの契約を義務付けた放送法の規定が合憲(国民の財産権を侵害しない。)との判断を下しました。
最高裁が当該放送法の規定について、憲法判断を下すのは初めてです。
ただし、契約成立のためには、NHKが訴訟で勝訴しなければならず、NHKからの契約の申込みのみでは足りないとも判断されており、契約成立を認めるには、今後もNHK側からの個別の訴訟が必要となる点に変わりありません。
NHKが勝訴すれば、テレビ設置時点まで遡って、受信料の支払義務が生じる旨も判示されています。

(cf)放送法第64条
「協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない。」

以下、平成29年12月6日付、時事通信社記事より引用。
 NHKの受信料制度をめぐり、テレビを持つ人に契約締結を義務付ける放送法の規定が憲法に反するかが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)は6日、「国民の知る権利を充足する」として、規定を合憲とする初判断を示した。
 大法廷は「テレビ設置時にさかのぼって受信料の支払い義務が生じる」とも判断した。判決は全国で900万世帯を超える未払いへの徴収を後押しする可能性があり、大きな影響を与えそうだ。
 放送法は、テレビなどの受信設備を置いた人は「NHKと受信契約をしなければならない」と規定している。この規定が憲法に違反しないかが最大の争点で、裁判で正面から合憲性が問われたのは、1950年のNHK設立以来初めてだった。
 大法廷は受信料制度について、「憲法の保障する国民の知る権利を実質的に充足する合理的な仕組み」と指摘。契約を強制する放送法の規定は「適正、公平な受信料徴収のために必要で憲法に違反しない」と判断した。裁判官15人中14人の多数意見。
 その上で、契約を拒んだ人に対し、NHKが承諾を求める裁判を起こし、勝訴が確定した時点で契約が成立すると判示。テレビの設置時にさかのぼって受信料の支払い義務が生じるとの初判断も示した。木内道祥裁判官は「設置時からの支払い義務はあり得ない」とする反対意見を述べた。

無期雇用契約への転換と事務派遣料の値上げ

2017-12-04

人材派遣大手企業が、一般事務派遣の料金の値上げを行うようです。
平成25年4月に改正労働契約法が施行されており、施行日以降、期間の定めのある雇用契約を締結した社員については、5年経過後、希望があれば、無期雇用契約に転換がなされることになります(労働契約法18条1項)。
平成30年4月以降、無期雇用契約への転換が生じることに伴い、人材派遣会社が社員に支払う賃金が増加します。
かかる増加コストを捻出するため、派遣料の増加に踏み切ることになりました。

(cf)労働契約法第18条1項
「同一の使用者との間で締結された二以上の有期労働契約(契約期間の始期の到来前のものを除く。以下この条において同じ。)の契約期間を通算した期間(次項において「通算契約期間」という。)が五年を超える労働者が、当該使用者に対し、現に締結している有期労働契約の契約期間が満了する日までの間に、当該満了する日の翌日から労務が提供される期間の定めのない労働契約の締結の申込みをしたときは、使用者は当該申込みを承諾したものとみなす。この場合において、当該申込みに係る期間の定めのない労働契約の内容である労働条件は、現に締結している有期労働契約の内容である労働条件(契約期間を除く。)と同一の労働条件(当該労働条件(契約期間を除く。)について別段の定めがある部分を除く。)とする。」

以下、平成29年12月1日付日本経済新聞より、引用。
「パーソルテンプスタッフなど人材派遣大手が相次ぎ一般事務派遣の料金の引き上げに乗り出す。2018年4月から勤続年数が5年超の有期雇用社員の希望者を無期雇用に転換する必要があり、コスト増加分を転嫁し、待遇改善などの原資に充てる。無期雇用に転換する社員について1~3割の値上げを目指す。人手不足の中、一般事務職にまで待遇改善の動きが広がってきた。」
「改正労働契約法に基づき、18年4月から勤続年数が5年を超える有期雇用の希望者は無期雇用への転換を申し入れできるようになる。現在の一般事務派遣はほとんどが有期雇用で、契約が終わり新たな派遣先が見つかるまでの待機期間中は派遣会社から給与は支払われない。だが、無期雇用では待機期間中も給与が支払われる。派遣社員にとっては待機期間中でも常に一定の収入が保証され、生活の安定につながる。マンパワーやアデコは無期転換した派遣社員に交通費も支給する。」

強制わいせつ罪 最高裁「わいせつ目的」は不要との判断

2017-12-01

平成29年11月29日、最高裁判所は、強制わいせつ罪(刑法176条)の成立要件として、「わいせつ目的」は不要との判断を示しました。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171129-00000051-jij-soci

これまでの判例では、強制わいせつ罪の成立には、「その行為が犯人の性欲を刺激、興奮させ又は満足させるという性的意図の下に行われること」を要し、報復・虐待・侮辱する目的の場合には、同罪は成立しないものと判断されていました(最高裁判所昭和45年1月29日判決)。

今回の最高裁の判決は、わいせつ目的の要否に関する判断を47年ぶりに変更するものです。
「被害者の受けた性的な被害の有無や内容、程度」に重点をおいたものであり、保護法益、被害者感情の点からみても、妥当な判断なのではないかと考えられます。

電通 未払賃金として約23億円支給へ

2017-11-29

電通が実質上の未払残業代として、合計約23億円を年内に社員に支給するようです。
勤務時間として入力していた時間と、実際の労働時間との間に、大きなズレがあったことに起因するものであり、違法残業事件で有罪判決を受けた電通が調査して、総額が判明しました。
会社における労働時間の管理は、早急に改善すべき課題です。
また、違法残業問題は、経営者のコンプライアンスに対する姿勢とも大きく関わるものであり、コンプライアンスに対する意識改革をいかに実現していくかも今後の重要課題となるでしょう。

以下、平成29年11月28日付日本経済新聞より、引用。
「違法残業事件で有罪が確定した電通が、勤務時間を巡って社員による入力時間と実際に会社にいた時間の差異分を一時金として社員に支払う総額が約23億円に上ることが分かった。事実上の未払い残業代で、年内に支給する。電通は事件を受け、入力時間と実際の勤務時間の差を調査していた。」
「電通は従来、語学の習得や情報収集のために会社に残ることを「私事在館」として残業とみなしていなかったが、業務との線引きが曖昧で労働基準監督署から残業とみなすよう指摘があった。指摘を受け、2015年4月から17年3月までの2年間について、社員の自己申告などに基づいて勤務時間を詳しく調べた。業務と認められるケースが多く、事実上の未払い残業代として一時金の支給を決めた。すでに17年1~9月期決算で「勤務時間に関する一時金」として23億6700万円を計上している。」

賃貸借と改正民法④ 賃借人による修繕

2017-11-27

賃借物を修繕する義務があるのは、賃貸人ですが、一定の場合には、賃借人に修繕する権利があることが、改正民法で明記されました。
すなわち、改正民法は、以下の場合に、賃借人が修繕することができると規定しています(改正民法607条の2)。
①賃借人が賃貸人に対し、修繕が必要である旨を通知し、又はは賃貸人がそのことを知ったにも関わらず、賃貸人が相当の期間内に必要な修繕をしないとき(同条1号)
②急迫の事情があるとき(同条2号)

これまでも賃借人が修繕するケースは、民法上も想定されていましたが、このことを具体的に明記した点に意義があります。
現行民法でも、必要費や有益費は、賃貸人が負担することになり、改正民法でもこの点は変わりません(改正民法608条1項、2項)。
賃貸人と賃借人間で、トラブルになることが想定されるのは、修繕が必要なものであったのか、有益なものであったのか争いが生じる場合でしょう。
契約書上、どのような場合に必要費や有益費となるのか、可能な限り、明記することが望ましいと思われます。

賃貸借と改正民法③ 個人保証の限度額

2017-11-24

賃貸借契約とオーナーと賃借人の間で締結する場合、通常、連帯保証人をつけることになります。
連帯保証人は、賃料の不払いや、賃借物を賃借人が損傷させた場合の損害賠償債務まで、連帯して責任を負うことになり、これまで連帯保証人の責任が重くなりすぎる点が問題になっていました。
そこで、改正民法においては、個人の根保証契約は、極度額を定めなければ、効力を生じないと規定されています(改正民法465条の2第1項、第2項)。
オーナー側としても、個人の方に連帯保証をしてもらう場合には、保証の限度額を定めるようにしましょう。
限度額を定めない場合には、連帯保証契約自体が無効となってしまうため、注意が必要です。
なお、極度額を定めなければ無効となるのは、あくまでも個人の方が連帯保証を行う場合です。
法人が連帯保証を行う場合には、当該規制は及びません。

賃貸借と改正民法② 敷金の定義と原状回復義務の範囲

2017-11-22

賃貸経営と改正民法の関係において、重要な2つ目の点としては、敷金の定義がなされ原則として敷金の返還義務が定められたこと、かつ、通常損耗及び経年劣化は賃借人の原状回復義務の範囲外(すなわち賃貸人負担)と定められたことが挙げられます。

まず、改正民法においては、敷金を以下のように定義しました。
「いかなる名目によるかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭をいう。」(改正民法622条の2第1項)
そして、賃貸借終了時においては、敷金から、賃貸借に基づき発生した賃借人の賃貸人に対する債務(未払賃料等)を控除した残額の返還をしなければならないと規定されています。
更には、通常損耗や経年劣化によって生じた損傷は、賃借人の原状回復義務の範囲に含めないことも規定されています(改正民法621条)。

これまでの裁判例やガイドラインが法律として明文化されたものであり、頻繁に生じる原状回復義務、敷金を巡るトラブル防止の一助になることが期待されます。
不動産オーナー、不動産業者にとっては、当該改正点も認識しておくと良いでしょう。

賃貸借と改正民法① 設備故障と賃料減額

2017-11-20

平成29年5月に改正民法が成立し、2020年の施行が予定されています。
賃貸経営との関係においては、住宅設備が故障した際等、賃借物の一部の使用収益ができなくなった場合に家賃が当然減額になることが規定されました(改正民法611条1項)。

現行民法の規定では、賃借物の一部が賃借人の過失によらないで滅失したときは、賃借人は、滅失した部分の割合に応じて、賃料減額請求することが可能となっています(現行民法611条1項)。すなわち、賃借人からの減額請求があって初めて、減額がなされることになっています。

他方、改正民法は、賃借物の一部が滅失その他の事由により使用収益できなくなった場合において、賃借人の過失がない場合には、賃料は、使用収益できなくなった部分の割合に応じて減額される旨、規定しています(改正民法611条1項)。
すなわち、改正民法下においては、請求がなくても、当然に減額されることになります。
従って、不動産オーナーや管理会社は、賃借物の一部使用不能等の事実を把握した時点で、(減額の請求がなくても)能動的に賃料減額の対応をしなければならない点に注意が必要となります。

豊島区 空家をシェアハウスとして活用

2017-11-17

豊島区において、空家をシェアハウスとして活用することを促進する取り組みがなされています。
建築基準法上の用途変更をせずに、シェアハウスとして用いることを許容する条例の成立が予定されているものです。
改修費用が掛からず、シェアハウスにできることは、大きなメリットになると思います。
空家の有効利用の一環として、今後の動向が注目されます。

以下、平成29年11月16日付日本経済新聞より、引用。
「東京都豊島区は空き家をシェアハウスとして活用しやすくする事業を2018年度に始める。空き家をシェアハウスにする場合、建築基準法の用途を変え、大幅な改修が必要になるため利活用が進まなかった。居住希望者全員が連名で入居契約をすることなどを条件に、用途変更せずシェアハウスとして使える仕組みを作る。こうした自治体の試みは全国でも珍しいという。」
「複数の人間が個別にオーナーと契約し共同生活するシェアハウスは建築基準法で「寄宿舎」の用途になる。寄宿舎は防災対策のため、非常用照明や火災報知機の設置などが必要になる。一般的に改修費用は数百万円かかるため、シェアハウス運営をあきらめる空き家オーナーも多かった。」
「今回の条例案は連名で入居契約し、家族のような住み方をすれば「住宅」の用途はそのままで、改修せずにシェア居住ができるというものだ。条件として、入居者全員が連名でオーナーと契約し家賃滞納の連帯責任を負うことや、居住者全員が親族関係にないことなどを条例案に盛り込んだ。居室の床面積は4畳半程度の7平方メートル以上とし、原則として居住者数は居室数を上限にする。戸建てだけでなく、複数の部屋を備える賃貸マンションなども対象にする。」

 

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